新型コロナウイルスと健康保険に係る保険請求の取扱い
新型コロナウイルスにより、日本は危機に陥っているといってよく、医療機関は対応に追われています。接骨院や整骨院では、コロナウイルスの患者に直接的に関わることはないですが、医療機関においては、今後の感染拡大が見込まれる中、自己の問題として対応に迫られている状況です。医療機関や整骨院への個別指導・監査への対応も重要ですが、今は、より重要なコロナウイルスの問題に適切に取り組むことが必要です。
厚生局の柔道整復師(接骨院、整骨院)個別指導とは直接の関係はないのですが、医療に関する重要なトピックですので、ここでは、以下、新型コロナウイルスに関する厚生労働省の令和2年3月2日付け及び令和2年3月5日付けの事務連絡をご紹介します。
なお、後者の事務連絡では、歯科診療での新型コロナウイルスに関する留意点が挙げられていますが、歯科診療の基本的な留意点・留意事項については、歯科診療の個別指導・監査の弁護士のウェブページのコラムに詳しい記載があります。
1 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その3)
令和2年3月2日付け事務連絡
記
1.基本診療料に係る施設基準の取扱いについて
「基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成 30 年3月5日保医発第 0305 第2号)の第2の7において、各月の末日までに基本診療料の施設基準の要件審査を終え、届出を受理した場合の取扱いに係り、月の最初の開庁日に要件審査を終えた場合を除き、翌月の1日から当該届出に係る診療報酬を算定するとされているところである。今般、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるために緊急に開設する必要がある保険医療機関について、新たに基本診療料の届出を行う場合においては、この規定にかかわらず、当分の間、要件審査を終えた月の診療分についても当該基本診療料を算定できることとする。
2.外来診療料の取扱いについて
(1) 外来診療料の取扱いについては、電話等による再診を行った場合は算定できないとされているところであるが、「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(令和元年2月 28 日厚生労働省医政局医事課、医薬・生活衛生局総務課事務連絡。別添参照。)の「1」にあるように、慢性疾患等を有する患者等について、地域によってはかかりつけ医機能を有する医療機関が近くに存在しないなどの理由によって、当該患者が外来診療料を算定する医療機関に複数回以上受診している場合も考えられることから、医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合、外来診療料を算定できることとする。
(2) 本取扱いに従い外来診療料を算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄に電話等による旨及び当該診療日を記載すること。また、診療録への記載については、電話等再診料の規定に基づいて対応されたい。
(3) 本取扱いについては、新型コロナウイルス感染症患者の状況等を踏まえた臨時的な取扱いであり、状況等に変化があった場合には、速やかに必要な見直しを行うこととする。
2 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その4)
令和2年3月5日付け事務連絡
問1
事務連絡の「1」にあるように、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、歯科医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合、保険医療機関は、電話等再診料、処方箋料を算定できるか。
(答)
算定できる。
歯科診療における慢性疾患等を有する定期受診患者等に係る電話や情報通信機器を用いた診療、処方箋の送付及びその調剤等に関する留意点について
1.電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合
・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、電話や情報通信機器を用いて診察した歯科医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患等に対する治療薬を処方の上、処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、薬局はその処方箋情報に基づき調剤する。
注)処方箋情報のファクシミリ等による送付は、医療機関から薬局に行うことを原則とするが、患者が希望する場合には、患者自身が処方箋情報を薬局にファクシミリ等により送付することも差し支えない。
2.医療機関における対応
・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該患者が複数回以上受診しているかかりつけ歯科医等が、その利便性や有効性が危険性等を上回ると判断した場合において、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患等に対する治療薬を電話や情報通信機器を用いた診療で処方することは差し支えないこととする。
・ 電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報を送付することとして差し支えない。
・ 医療機関は、処方箋を保管し、後日、薬局に当該処方箋を送付するか、当該患者が医療機関を受診した際に当該処方箋を手渡し、薬局に持参させる。
・ 歯科医師は、ファクシミリ等により処方箋情報を薬局に送付した場合は、診療録に送付先の薬局を記録すること。
・ 歯科医師は、3.により、薬局から、患者から処方箋情報のファクシミリ等による送付があった旨の連絡があった場合にも、診療録に当該薬局を記録すること。この場合に、同一の処方箋情報が複数の薬局に送付されていないことを確認すること。
3.薬局における対応
・ 患者からファクシミリ等による処方箋情報の送付を受け付けた薬局は、その真偽を確認するため、処方箋を発行した歯科医師が所属する医療機関に、処方箋の内容を確認する(この行為は、薬剤師法第 24 条に基づく疑義照会とは別途に、必ず行うこととする)。なお、患者を介さずに医療機関からファクシミリ等による処方箋情報の送付を直接受けた場合には、この確認行為は行わなくてもよい。
・ 医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等により送付された処方箋を薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 23 条~第 27 条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 49 条における処方箋とみなして調剤等を行う。
・ 調剤した薬剤は、患者と相談の上、当該薬剤の品質の保持や、確実な授与等がなされる方法で患者へ渡し、服薬指導は電話や情報通信機器を用いて行うこととしても差し支えない。また、長期処方に伴う患者の服薬アドヒアランスの低下や薬剤の紛失等を回避するため、調剤後も、必要に応じ電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を実施する。
・ 可能な時期に医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ等で送付された処方箋情報とともに保管すること。
事務連絡のご紹介は以上です。
医療機関や整骨院・接骨院への個別指導、監査は重要な業務ですが、厚生局・都道府県は、新型コロナウイルスへの対応に今は最善を尽くしてもらいたいと思います。
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